
いよいよ最後の夏。
甲子園を目指す大会が目前に迫る中で、
ある高校球児がこんな相談をくれました。
「レギュラーは練習に集中できているけれど、控えの選手はモチベーションが低い。
でも、自分たちは今まで一緒に頑張ってきた仲間。
最後は、全員でひとつになって甲子園に行きたい。」
とてもまっすぐで、胸を打たれる言葉でした。
そしてこれは、全国のどのチームにも起こり得る、大事なテーマです。
チームスポーツにおいて、「全員の心がひとつになる」ことは、技術や戦術と同じくらい大切です。
そして、その雰囲気を変えようとする本人の「想い」と「行動」が、チームを動かす力になります。
この選手のような存在がいることが、チームの大きな支えです。
■チームの中に生まれる「見えない壁」
最後の大会が近づくと、チームは自然と試合に出る選手中心の空気になっていきます。
でもその分、試合に出られない選手たちは、「自分の存在意義」を見失いかけます。
レギュラーでない選手の心理
→「どうせ自分は試合に出られない」「自分の頑張りが勝ち負けに影響しない」
→「モチベーションが湧かない」「練習への意欲が薄れる」
これはごく自然な感情です。悪者にしてはいけません。
「頑張ってもどうせ出られない」
「自分だけが置いていかれてる気がする」
そう思うと、心にブレーキがかかり、距離が生まれます。
それが、チームの一体感を少しずつ蝕んでいくのです。
■では、どうすればチームは一つになれるのか?
その答えのひとつは――
「レギュラー選手からの本気の想い」です。
誰よりも練習で追い込まれ、プレッシャーの中で戦っているレギュラー選手が、
「控えの仲間たちの力が必要だ」と本気で伝えること。
その言葉は、監督の言葉よりも、誰よりも、
仲間の心を動かします。
■声をかけてみよう。心を届けてみよう。
【想い①】「お前たちの力が必要だ」
「試合に出る出ない関係なく、全員の練習があったからここまでこれた」
「控えのメンバーの声やサポートが、どれだけ俺たちを支えてくれてるか知ってる」
「最後の夏、全員で勝ったって胸を張れる大会にしたいんだ」
【想い②】「一緒に戦っているという実感を持ってほしい」
「もし俺が逆の立場なら、試合に出ない悔しさもあると思う」
「でも、最後の夏を『やりきった』と思えるかどうかは、今の時間の過ごし方だと思う」
「お前の声が、俺らに力をくれてる」
「この夏、全員で戦ったって、みんなで誇れる大会にしよう」
「一緒にここまできた。最後も、一緒にやりきろう」
そんな言葉が、心の壁を壊し、チームをひとつにします。
■「出場する・しない」を超えた価値
試合に出るか出ないかは、ただの「役割の違い」です。
でも、全員が同じ目標に向かって本気でやるチームには、強いエネルギーが宿る。
「試合に出る選手」と「支える選手」という役割の違いはあっても、どちらも『勝利』という目標に向かう仲間です。
- ベンチワーク、声出し、スコア記録、道具の準備など、チームの勝利に直結する貢献ポイントを明確に伝える
- 役割に誇りを持てるようにすることで、自分の存在意義が見えてきます
ベンチからの声、サポート、雰囲気づくり――
それらすべてが、試合を動かす“力”になります。
最後に
レギュラーであるあなたが、心から「全員で勝ちたい」と思うなら、
それは本当に、チームを動かす力になります。
あなたのように、「全員で一つになって戦いたい」と願うレギュラー選手の存在が、
チームを本当の意味で強くします。
たった一人の言葉が、チームの空気を変え、雰囲気を変え、勝利を呼び込むことは本当にあります。
今のあなたの言葉や行動が、
チームを変え、夏の結果をも変えるかもしれません。
どうか勇気をもって、想いを伝えてください。
この夏が、「全員でやりきった夏」になることを願っています。