◎「体力」とは。
猪飼道夫等編 体力と身体適正 体育科学辞典 第一法規出版 1970ストレスに耐えて、生を維持していくカラダの防衛反応と積極的に仕事をしていくカラダの行動力。
一般的に使われている「体力」という言葉は、筋力や持久力とほぼ同じ意味で身体的な要素を指している場合がほとんどかと思います。
しかし「体力」という言葉の定義の中には、「身体面」と「精神面」の両方が含まれています。
ここでは、体力には「カラダの体力」だけではなく、「ココロの体力」というものがあることを知っていただきたいと思います。
「心の体力」?と思う方もいるかと思いますので、これに関しては後述します。
そして身体的要素も精神的要素もそれぞれ「運動をするための体力(行動体力)」と「健康に生活するための体力(防衛体力)」に分けることができます。
○行動体力(運動をするための体力)とは。
一般的に言われている「体力」というのはここに当たります。
運動をするための体力とは、身体を動かすために必要な基本的な身体的能力のことを指します。
筋力、運動に合わせて身体の動きを調整するための調整力、行動を起こすための瞬発力、行動を持続するための持久力など、運動をするための基礎となる身体的能力のことです。
さらに、この行動体力は「形態的体力」と「機能的体力」に分けられます。
「形態」とは、体格や姿勢、臓器の大きさなどの基盤を言い、「機能」はそれらを動かすための筋力、柔軟性などの能力です。
- 筋力:モノを持ち上げたり、つかんだり、押したりする時に使う力
- 瞬発力:投げたり、打ったり、跳んだりするときに使う力
- 筋持久力:モノを持ちつづけたり、繰り返し持ち上げるために使う力
- 全身持久力:いわゆるスタミナのこと
- 平衡性:平衡感覚にもとづいた調整力
- 敏捷性:自分の思うように体を動かせる能力
- 柔軟性:体を曲げたり、そらしたりできる能力
○防衛体力(健康に生活するための体力)とは。
「防衛体力」は、生命維持のために必要な体力とも言われ、体温調整や免疫力、臓器の構造、ストレスへの抵抗力などがこれにあたります。
防衛体力が無ければ、すぐ病気になったり、運動するにもモチベーションが上がらなかったり、トレーニングをしてもトレーニング効果が上がらなかったりすることにつながります。
したがって、防衛体力は、行動体力の基盤を成しているものだとも言えるでしょう。しかし、客観的に評価したり測定したりするのが難しいのが実情です。
◎「心の体力」とは。
「心の体力がある人はどんな人?」と聞かれたらどのような人を想像しますか?
・あまりストレスが溜まってなさそうな人
・他人に左右されずに自分を持っている人
・いつも明るくて元気な人
・気持ちに余裕がある人
・健康的なイメージがある人
などを想像するでしょうか?もし自分が上記のような状態だったら理想的だと思います。
けど、大丈夫です。「心の体力」というのは性格ではありません。あくまでも「体力」です。
なので、トレーニングを積むことによって体力はついてきます。もちろんトレーニングをしなければ落ちていく場合もあります。
「心の体力」とは、どれだけ「自分をコントロールする力」があるかと言うことです。
そしてそのコントールするものが何かというと、「行動」「感情」「欲求」「決断」になります。
これらは表裏一体の関係にあります。
例えば、「行動」をたくさん起こしたことで心の体力が減ってきているとします。そうするとその疲れによって、「感情」のコントロールができなくなります。
逆にたくさんの「感情」を経験して疲れていると、「行動」のコントロールができなくなると言うことです。
なので、もし今「感情」がうまくコントロールできずイライラしてしまうことが多いような場合は、
「行動」や「欲求」「決断」の消耗によって心の体力が疲れてしまっているのかもしれません。
また、やりたいことがあって「行動」をしたいのになかなか実行できない場合は、
「感情」や「欲求」「決断」の消耗によって、同じく心の体力が減ってきているのかもしれません。
そんな時は疲れているのだから、「心の体力を回復」させる必要があります。
体力というのは、消費と回復の繰り返しによって強くなっていくものです。
◎「メンタル」を整える。
今回の「メンタルを整える方法」は、心の体力を回復させる方法です。
1.ストレッチや軽い運動をする
心と体はつながっていますので、心の疲れで体力が減ってくると、筋肉が緊張してしまうという体への反応も出てきてしまいます。
筋肉が緊張してしまうと、体も動かしにくくなってしまい、肩こりや腰痛の原因になるとともに、さらに心身に負担をかけてしまいます。
なので、
ストレッチやウォーキングなどの軽い運動をすることで、筋肉の血流が良くなり、筋肉の緊張がほぐれていきます。
特に「心の疲れ」の場合は、背中の筋肉の緊張として出てくることが多いので、その辺りを中心に行うと良いかもしれません。
2.笑う
「笑う」という行為自体にリラックス効果があるといわれます。
「笑いは、身体的には筋肉の緊張状態を軽減し、心理的には余計なことを考えさせない、つまり心を無にすることを促す。笑うことで、内から新しいエネルギーを汲み出し、安定した精神状態を獲得することができる」のです。
お笑いの番組を見るのも良いですし、友人と笑い話をするのも良いでしょう。
誰かに会ったとき、笑顔で挨拶するのもお互いに気持ちがいいものです。
3.頭の中を整理する
心が疲れているときは、ひとつのことで疲れているのではなくて、あれもこれも色々あって頭の中がぐちゃぐちゃになってしまっている場合も少なくありません。
問題がひとつであれば、意外と解決に向けて前を向けるものなので。
頭の中がぐちゃぐちゃになってしまっている時は、部屋の片付けと同じです。
頭の中の整理をしましょう。
そのためには頭の中だけで考えて整理しようとしてはいけません。
紙に書き出していきましょう。
悩んでいる項目をひとつずつ、ピックアップしていき、整理整頓していきましょう。
何で悩んでいるのか?どうしていきたいのか?何をしたら良いのか?などをひとつの項目に対して書き出してみましょう。
しっかり整理されると、片付けられた部屋が気持ちいいように、頭の中も気持ちよくなります。
まとめ
「心の体力」について少し理解していただけたでしょうか?
体力とは、体だけでなくメンタルも含まれること。心の体力は性格ではなく、体力なので鍛えることができるということ。
心の体力とは「自分をコントロールする力」のこと。
心が疲れていれば、自分をコントロールすることが難しくなり、ついイライラしてしまったり、行動に移せなくなってしまったりすること。
少しでもご参考になれば幸いです。