こんにちは。メンタルトレーナーの宇井野です。
今回は、「プレッシャーに負けない集中力の作り方」についてです。

■ 宮里藍選手が実践する「集中ライン」
女子プロゴルファーで元世界ランク1位の宮里藍選手は、ある興味深い考え方を紹介しています。
それが「集中ライン」というものです。
ティーグラウンドに立ったときに、打つ前の場所と打つ場所の間にラインをイメージする。
ラインを越えるまでは自由に考え、越えてからは「打つこと」だけに集中する――。
このシンプルな工夫が、頭で考えながら体を動かす難しさを解消し、プレーの質を高めてくれるのです。
■ プレッシャーでパフォーマンスが下がる2つの原因
私がこれまで多くの選手と関わってきた中で、プレッシャー下でのパフォーマンス低下には主に2つの原因があると考えています。
1. 感情と思考の不一致によるストレス
プレッシャーを「なくそう」「リラックスしよう」と思えば思うほど、感情と思考にズレが生じます。
脳は「感情」と「思考」を司る部分があり、この不一致が強いストレスを生み、体のコントロールにも影響を与えます。
- 「ふわふわする」
- 「地に足がつかない感じ」
こう表現する選手も少なくありません。
この状態では普段できることができなくなり、慢性的なストレスは不眠・回復力低下・胃腸不良など体調面にも悪影響を及ぼします。
理想はプレッシャーを消すことではなく、プレッシャーがある中でも力を発揮できるスキルを身につけることです。
そうすれば「プレッシャー下でもできる」という成功体験が増え、やがて大きな自信へとつながります。
2. プレッシャーに意識を奪われて集中できない
もう一つの原因は、意識の分散です。
例えば簡単な実験をしてみましょう。
- 自分の脈拍を20秒間測る
- 脈拍を測りながら、簡単な質問に答える
(例:朝ごはんは食べましたか? 昨日の夕食のおかずは? など)
1は誰でも正確にできますが、2になると多くの人が脈拍を数え間違えます。
「2つのことを同時にやる」ことが、いかに難しいかを実感できるはずです。
競技でも同じです。
「プレッシャーをコントロールしたい」という意識と「プレーに集中する」という意識が同時に働くと、集中力は落ち、パフォーマンスも下がってしまいます。
特にゴルフや野球、サッカーのPKなど「止まって考える時間のある競技」では、この意識の切り替えが非常に重要になります。
■ プレッシャーを味方にするために
プレッシャーは避けるものではなく、向き合い方を工夫することで力に変えることができます。
- 感情と思考の不一致を減らす
- 「集中ライン」などのルーティンで意識を切り替える
- 成功体験を積み重ねて自信を育てる
これらを実践することで、プレッシャー下でもいつも通りの力を発揮できる選手になっていきます。
プレッシャーを恐れるのではなく、プレッシャーの中で結果を出すスキルを磨く。
その積み重ねが、あなたの競技人生を大きく変えていくでしょう。